マカゼタマハの世界
わたくし真風玉葉(マカゼタマハ)のオリジナル小説を掲載していきます。 左のカテゴリより作品を選んでお読みください。
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銀杏坂(3)
授業中。
伸治はまじめに勉強にはげむことなく、ノートに落書きをしていた。
落書きといっても伸治にとっては真剣で、新型のバイクのデザインの気に入らない所を伸治なりに改良を加えた案を必死に書き起こしていた。当然先生の話は聞こえるはずもない。
何度も描いては消しを繰り返し、完成した新型バイクの案を前の席に座っている田中清に渡した。
一方まじめに授業を受けているつもりの清にとっては迷惑この上ないが、せっかく描いたものをつき返すわけにもいかず、とりあえず目を通してみる。
そこに描かれていたデザインは、まるで正義のヒーローが乗るような派手でかっこよさを追求したものだった。いかにも伸治が好きそうなデザインだったので、清は思わず吹き出した。
そこで清は『おまえらしくていいな。レーサーよりも設計者になれよ』とコメントを書いて、後ろの席の伸治に渡した。
感想を読んだ伸治はうれしくなって、清の背中を突っついた。ふり向いた清に向かって親指を立てて決めポーズを作ると、改良デザイン案件その2に着手した。
授業そっちのけで製図にいそしむ伸治の頭に何かが当たった。
驚いた伸治は辺りをキョロキョロ見回した。
「どうした高橋?」
伸治がまじめにノートを取っているものだと勘違いしていた、国語の光井先生が声をかけた。
「あ、いえ。なんでもありません」
教室にクスクス笑いが起きる。
伸治は再び設計者の顔に戻った伸治に頭に、また何かが当たった。
そしてまた驚いた伸治は後を振り返った。
するとななめ後に座っている委員長の石川美由紀と目が合った。美由紀はにらむような目で伸治を見ている。不意に美由紀が何かを投げた。とっさに伸治は身をかわす。
見れば美由紀の手元には、細かく切りくだいた消しゴムが散らばっている。どうやらさっきから伸治の頭に当たっていたのは、美由紀の投げた消しゴムのかけらだったようだ。
なぜ美由紀がそんなことするのかわけも分からず、伸治はにらみ返した。
美由紀は教室の前の方をあごで指し示した。前をふり向くと、光井先生が黒板に向かって例題を書いている最中だった。美由紀に向き直ると、まだ黒板の方向をあごで指し示していた。どうやらちゃんと授業を受けろ、という意味らしい。
やれやれと思いながら、伸治は体だけは前を向くことにした。それでもバイクの案件その2を描くのはやめなかった。その後も消しゴム攻撃は続いたが、無視することにした。
どういうわけか、美由紀はことあるごとにちょっかいを出してくる、と伸治は思っていた。なぜだか分からないが、今のように行動を細かくチェックされていて、なにかあればすぐさま注意してくるし、何かにつけては話しかけてくるのだった。
ああいうのがいずれストーカーになるのだろうな、と伸治は身が震える思いだった。
伸治はまじめに勉強にはげむことなく、ノートに落書きをしていた。
落書きといっても伸治にとっては真剣で、新型のバイクのデザインの気に入らない所を伸治なりに改良を加えた案を必死に書き起こしていた。当然先生の話は聞こえるはずもない。
何度も描いては消しを繰り返し、完成した新型バイクの案を前の席に座っている田中清に渡した。
一方まじめに授業を受けているつもりの清にとっては迷惑この上ないが、せっかく描いたものをつき返すわけにもいかず、とりあえず目を通してみる。
そこに描かれていたデザインは、まるで正義のヒーローが乗るような派手でかっこよさを追求したものだった。いかにも伸治が好きそうなデザインだったので、清は思わず吹き出した。
そこで清は『おまえらしくていいな。レーサーよりも設計者になれよ』とコメントを書いて、後ろの席の伸治に渡した。
感想を読んだ伸治はうれしくなって、清の背中を突っついた。ふり向いた清に向かって親指を立てて決めポーズを作ると、改良デザイン案件その2に着手した。
授業そっちのけで製図にいそしむ伸治の頭に何かが当たった。
驚いた伸治は辺りをキョロキョロ見回した。
「どうした高橋?」
伸治がまじめにノートを取っているものだと勘違いしていた、国語の光井先生が声をかけた。
「あ、いえ。なんでもありません」
教室にクスクス笑いが起きる。
伸治は再び設計者の顔に戻った伸治に頭に、また何かが当たった。
そしてまた驚いた伸治は後を振り返った。
するとななめ後に座っている委員長の石川美由紀と目が合った。美由紀はにらむような目で伸治を見ている。不意に美由紀が何かを投げた。とっさに伸治は身をかわす。
見れば美由紀の手元には、細かく切りくだいた消しゴムが散らばっている。どうやらさっきから伸治の頭に当たっていたのは、美由紀の投げた消しゴムのかけらだったようだ。
なぜ美由紀がそんなことするのかわけも分からず、伸治はにらみ返した。
美由紀は教室の前の方をあごで指し示した。前をふり向くと、光井先生が黒板に向かって例題を書いている最中だった。美由紀に向き直ると、まだ黒板の方向をあごで指し示していた。どうやらちゃんと授業を受けろ、という意味らしい。
やれやれと思いながら、伸治は体だけは前を向くことにした。それでもバイクの案件その2を描くのはやめなかった。その後も消しゴム攻撃は続いたが、無視することにした。
どういうわけか、美由紀はことあるごとにちょっかいを出してくる、と伸治は思っていた。なぜだか分からないが、今のように行動を細かくチェックされていて、なにかあればすぐさま注意してくるし、何かにつけては話しかけてくるのだった。
ああいうのがいずれストーカーになるのだろうな、と伸治は身が震える思いだった。
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