マカゼタマハの世界
わたくし真風玉葉(マカゼタマハ)のオリジナル小説を掲載していきます。 左のカテゴリより作品を選んでお読みください。
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世界のしくみ(3)
終業後帰宅すると、カナコは玄関にカバンを投げ出したまま、制服のままで外へ飛び出した。
どうしても確かめたいことがあった。すると自然と脚が駆け出していた。
弓原イクミの家の前。今朝、スクールバスが停まらなかった家だ。
一体今彼女はどうしているのか? 大きなケガや、重い病気にでもかかっているのだろうか? 今思えば、学校を休む直前、彼女の様子が少しおかしかった。
震える指でチャイムを鳴らした。
程なくイクミの母親が出てくる。何度もこの家に遊びに来たことがあるカナコは、顔なじみのはずなのに、なぜかイクミの母親は不審そうな顔をしている。まるで初対面であるみたいに。
「あの、イクミは……イクミは元気にしてますか?」
「イクミ?」
母親はさらに不審そうな顔になった。
「え? あの? 弓原イクミさんは……?」
カナコは嫌な予感がした。
「ウチにはそんな子いませんけど? あなたどちら様? お家を間違ってませんか?」
予感が的中した。なぜだか分からないが、この絶望的なセリフがあらかじめ読めていた。
再びカナコは自分がどうかしてしまったのではないか? という思いにとらわれた。
つい四日前まで一緒に遊んでいた弓原イクミは、本当に存在していたのだろうか? 自分はなにかとんでもない勘違いをしているのか?
それとも世の中が何かおかしいのか??
弓原家を後にして、帰宅の足取りが重かった。
落胆するカナコに誰かがささやきかけてきた。驚いてふり向くが誰もいない。
「誰?」
姿は見えないのに声だけが聞こえていた。ただその声もなにを言っているのかよく聞き取れない。チューニングのあわないラジオを聴いてるみたいに、雑音だらけで、声が近くなったり遠くなったりしている。
何を言っているのかは分からなかったが、こちらを招いているような感じだけは伝わった。
声に誘われるままに、カナコは声のする方へと進んでいった。
しばらくして、カナコは自分よりも少し前を歩いている少女も、自分と同じく声に誘われて歩いていることに気がついた。自分の意思ではない、目に見えない誰かに手を引かれて歩いているかのような足取りだったからだ。
よく見るとその少女はクラスメイトの国崎キョウコだった。中学に入ってからはあまり話しをしなくなっていたが、家が近所ということもあって小学生の頃はよく遊んだ仲だった。
「キョウちゃん」
カナコは思わず小学生時代の呼び名で呼んだ。しかしキョウコは聞こえないのか、振り返りもしなかった。
キョウコとカナコはやがて公園にやってきた。人気のないさみしい公園には人っ子一人いない。
公園の奥にある公衆便所へと進むと、公衆便所の壁に大きな穴があいているのが見えた。
一体誰がこんな所に穴を、とカナコが思って見ると、それは壁にあいた穴ではなかった。
壁からたっぷり一メートルは離れた位置に穴があいていた。何もない宙に穴が浮いているのだった。丸くぽっかりとあいた穴は、直径が二メートルくらいはある大きな穴だった。
穴の中はどす黒くて薄気味悪かったが、穴の反対側に回ると穴は見えず、普通の景色だった。
「一体この穴は何? なんだと思う? キョウちゃん」
カナコがキョウコに話しかけると、今まさにキョウコがその穴の中に入ろうと片足を突っ込んでいるところだった。
「キョウちゃん!?」
びっくりしたカナコは、穴に入ろうとするキョウコを引きとめようとしたが、キョウコはそのまますっぽりと穴の中に姿を消してしまった。
カナコは穴の中をのぞきこんでみたが、真っ暗で何も見えない。キョウコの名前を呼んでも返事はなかった。
キョウコを飲み込んだ穴がだんだん霞のように薄れてきた。そしてものの一分とたたないうちに、跡形もなくなった。
カナコは呆然とその場に立ち尽くした。今起きたことは現実なのだろうか? 人がひとりいなくなってしまったのだ。
急にカナコは何かを思いついたように駆け出した。
着いた先は国崎キョウコの家だ。小学生の頃は何度も遊びに来たことのある家だ。チャイムを鳴らすと、見覚えのあるキョウコの母親が現れた。
「ウチにはキョウコなんて子いませんけど? あなたどちら様? お家を間違ってませんか?」
カナコには母親の答えがなんとなく分かっていた気がした。
カナコは何が何だか分からなくなっていた。自分がどうかしてしまったんじゃないかと思えた。
まるで世界で自分ひとりだけが孤立しているような気分だ。
どうしても確かめたいことがあった。すると自然と脚が駆け出していた。
弓原イクミの家の前。今朝、スクールバスが停まらなかった家だ。
一体今彼女はどうしているのか? 大きなケガや、重い病気にでもかかっているのだろうか? 今思えば、学校を休む直前、彼女の様子が少しおかしかった。
震える指でチャイムを鳴らした。
程なくイクミの母親が出てくる。何度もこの家に遊びに来たことがあるカナコは、顔なじみのはずなのに、なぜかイクミの母親は不審そうな顔をしている。まるで初対面であるみたいに。
「あの、イクミは……イクミは元気にしてますか?」
「イクミ?」
母親はさらに不審そうな顔になった。
「え? あの? 弓原イクミさんは……?」
カナコは嫌な予感がした。
「ウチにはそんな子いませんけど? あなたどちら様? お家を間違ってませんか?」
予感が的中した。なぜだか分からないが、この絶望的なセリフがあらかじめ読めていた。
再びカナコは自分がどうかしてしまったのではないか? という思いにとらわれた。
つい四日前まで一緒に遊んでいた弓原イクミは、本当に存在していたのだろうか? 自分はなにかとんでもない勘違いをしているのか?
それとも世の中が何かおかしいのか??
弓原家を後にして、帰宅の足取りが重かった。
落胆するカナコに誰かがささやきかけてきた。驚いてふり向くが誰もいない。
「誰?」
姿は見えないのに声だけが聞こえていた。ただその声もなにを言っているのかよく聞き取れない。チューニングのあわないラジオを聴いてるみたいに、雑音だらけで、声が近くなったり遠くなったりしている。
何を言っているのかは分からなかったが、こちらを招いているような感じだけは伝わった。
声に誘われるままに、カナコは声のする方へと進んでいった。
しばらくして、カナコは自分よりも少し前を歩いている少女も、自分と同じく声に誘われて歩いていることに気がついた。自分の意思ではない、目に見えない誰かに手を引かれて歩いているかのような足取りだったからだ。
よく見るとその少女はクラスメイトの国崎キョウコだった。中学に入ってからはあまり話しをしなくなっていたが、家が近所ということもあって小学生の頃はよく遊んだ仲だった。
「キョウちゃん」
カナコは思わず小学生時代の呼び名で呼んだ。しかしキョウコは聞こえないのか、振り返りもしなかった。
キョウコとカナコはやがて公園にやってきた。人気のないさみしい公園には人っ子一人いない。
公園の奥にある公衆便所へと進むと、公衆便所の壁に大きな穴があいているのが見えた。
一体誰がこんな所に穴を、とカナコが思って見ると、それは壁にあいた穴ではなかった。
壁からたっぷり一メートルは離れた位置に穴があいていた。何もない宙に穴が浮いているのだった。丸くぽっかりとあいた穴は、直径が二メートルくらいはある大きな穴だった。
穴の中はどす黒くて薄気味悪かったが、穴の反対側に回ると穴は見えず、普通の景色だった。
「一体この穴は何? なんだと思う? キョウちゃん」
カナコがキョウコに話しかけると、今まさにキョウコがその穴の中に入ろうと片足を突っ込んでいるところだった。
「キョウちゃん!?」
びっくりしたカナコは、穴に入ろうとするキョウコを引きとめようとしたが、キョウコはそのまますっぽりと穴の中に姿を消してしまった。
カナコは穴の中をのぞきこんでみたが、真っ暗で何も見えない。キョウコの名前を呼んでも返事はなかった。
キョウコを飲み込んだ穴がだんだん霞のように薄れてきた。そしてものの一分とたたないうちに、跡形もなくなった。
カナコは呆然とその場に立ち尽くした。今起きたことは現実なのだろうか? 人がひとりいなくなってしまったのだ。
急にカナコは何かを思いついたように駆け出した。
着いた先は国崎キョウコの家だ。小学生の頃は何度も遊びに来たことのある家だ。チャイムを鳴らすと、見覚えのあるキョウコの母親が現れた。
「ウチにはキョウコなんて子いませんけど? あなたどちら様? お家を間違ってませんか?」
カナコには母親の答えがなんとなく分かっていた気がした。
カナコは何が何だか分からなくなっていた。自分がどうかしてしまったんじゃないかと思えた。
まるで世界で自分ひとりだけが孤立しているような気分だ。
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